みなさんは「中医学」についてご存知でしょうか?
先日、患者さまから
「首が痛いのになぜ手にも鍼を刺すことがあるの?」
といった質問がありました
なので今回は鍼灸治療についての考え方を説明していきます
そのためには
鍼灸治療の考え方=中医学の考え方
を知っていただく必要があります
一般的に日本において、中医学という言葉は、聞き慣れないかと思います
中医学とは、中国伝統医学や、中国医学の略称です
日本では東洋医学といった方が馴染み深いかもしれませんね
本来、東洋医学とは、アジア地域の医学医療全体を指すもので
インド医学、アーユルベーダ、チベット医学、中医学などの総称になります
しかし、日本では、鍼灸や漢方などを指して東洋医学と表現しています
現在の日本の鍼灸とは、元々中国から伝わった医療技術を、日本独自に発展させたものです
なので鍼灸については、東洋医学というよりも、中医学と表現するがより的確なのです
中医学をベースにした鍼灸治療には
“心と体は一体である”
“全てのバランスを大切にする”
“自然の秩序を大切にする”
という考えが根底にあります
すこし難しい表現に聞こえますが、簡単にいうと
「患部だけを診るのではなく、身体全体を把握する」
「身体の調子は、精神状態や周りの環境によっても変化する」
こう聞くと当たり前のように感じますが
検査結果や画像所見を重要視する西洋医学にはあまりない部分かと思います
鍼灸治療では、人が本来持っている<自然治癒力>を引き出し、それを高めていきます
古くから伝わる療法ですが、現在ではその効果が科学的に解明されつつあり
多くの疾患への施術効果がWHO(世界保健機構)で認められはじめています
薬のような副作用がほとんどなく
妊産婦さんや赤ちゃんにも安心して受けていただけます
では実際、中医学とはどのようなものなのか?
中医学の考え方では
人の身体は「気」「血」「津液」という三つの物質により構成されると考えています
そしてこれらが適量でバランスよく、かつ身体をスムーズに流れている状態が健康でいられると考えてます
つまり、どこかで滞りがあると身体に不調をきたすのです
鍼灸治療ではその滞りを取り除き、流れを戻すことで
身体の調子を整えていきます
次に、さきほど出てきた「気」「血」「津液」について簡単に説明していきます
<気>
気とは人が活動するために必要な基礎物質です
気にもいくつかの種類があり、それぞれの役割があるのですが
人の生命活動の源と考えており
多すぎたり足りなくなってしまうと身体に不調をきたし
時には、死に至るとまでされています
<血>
血は様々な器官に栄養や潤いをあたえます
ここにも中医学独特の概念があり、血は精神活動の栄養源でもあります
ですから血の不足は精神不安や不眠を発症させます
ちなみに読み方は「ち」ではなく「けつ」と読みます
<津液(水)>
津液は水(すい)とも言い、体内にある正常な水液のことをいいます
主な作用としては身体の各部所に潤いと栄養を与えます
そして、<経絡><経穴>
経絡とは一言で言えば<気><血><津液>を
全身の各部位へ運ぶための通路みたいなものです
そして経絡は<気><血><津液>以外にも病気(不調)の原因を運行させたり
鍼灸の刺激や漢方薬の効果 を患部へ伝達させたりします
経穴とは、いわゆる”ツボ”になります
”ツボ”は経絡を通して各部位に刺激を送るためのスイッチのようなもの
鍼灸治療では、経穴”ツボ”を刺激し
経絡に沿って、身体の状態に合わせた刺激を与えて
<気><血><津液>のバランスを整えていきます
そして今回の
「首が痛いのになぜ手にも鍼を刺すことがあるの?」
という質問に対しては
「首の痛みにたいして、経絡でつながっている手の経穴”ツボ”に鍼をして
首への気の流れを整えていきます」
という答えになります
しかし、鍼灸治療には様々な手法があり
今回お話したものは一部の表面的なものでしかありません
あくまで、知らない方に、簡単にわかりやすくを意識して説明したため
難しい言葉や表現は省かせていただいております
鍼灸治療を受けるまえに少しでも
「中医学」の知識が頭に入っていると
施術者から説明されたときにわかりやすいかもしれませんね